
パッケージ

マシンモード
四つのタイヤが備わった自動車タイプのビークルだが、
フロントにはカブトムシ型メカの頭部が設置されている。
カブトムシと自動車を融合させた独特なスタイルのマシンであり、
メタリック調のダークグリーンのボディと各部のシルバーに加え、
水色、オレンジ色、パープルの塗装が毒々しさを演出しており、
悪役のアクロイヤーに相応しい禍々しさが感じられるデザインが魅力だ。

リア
タイヤの周りにはフェンダー、車体後部には大型のウイングが設置され、
自動車としての特徴も表現されている造形が見事である。
又、中央に配置されたシルバーの球体は金属製で、
別売りアイテムの磁石を内蔵した関節、
いわゆるマグネジョイントに合体させる為のパーツ。

サイド
カブトムシ型のフロントを備えた独特なスタイルのビークルモードは、
一風変わったデザインの自動車型トイとしても大いに楽しめる。
更に単にビークルからロボットに変形するトイではなく、
アクロゼンマイン、又はゼンマインは
走行ギミックも備えている事が特徴。

ゼンマインは、その名の通りプルバック式ゼンマイを
搭載している事が最大のポイントであり、
チョロQよろしく走行ギミックが楽しめるミクロマン・トイだ。
後輪のタイヤはゴム製で、車体後部に
プルバックゼンマイが組み込まれており、
車体を後ろ側に引くとゼンマイが巻かれ、
手を離すと勢い良く走行する。

単なるカブトムシではなく、鼻先の他に
額から大型の角が2本生えた3本角の姿は、
コ-カサスオオカブトやアトラスオオカブトを
思わせるマニアックさが興味深い。
2本の角には可動軸が備わっているので、
角を閉じて敵のミクロマンを挟み込む事が出来る。

日本ではカブトムシの人気が高い為、善であるヒーロー側になる場合が
ほとんどだが、ミクロマンではカブトムシ型ゼンマインのカブターボを
悪役のアクロイヤー側に組み込んでいる設定が面白い。
これは正義の味方であるミクロマンのメンバーに、
カマキリのデザインを取り入れたミクロマンエジソンが存在し、
更にミクロマン側のゼンマインに
カマキリ型のカマクローが居る為であろう。
正義のカマキリ、悪のカブトムシという、一般の男児玩具とは
逆となってる異端さがミクロマン・トイの魅力の一つと言えよう。
システムチェンジ!

ゼンマイン及びアクロゼンマインは、頭部や各パーツを取り外して
各所に付け替える組み換え式だが、ミクロマンシリーズは
トランスフォーマーの様な完全変形を前提としたトイではない。

ロボットモード
全体はメカニカルさを基本にしているデザインだが、
カブトムシ型の頭部やオレンジ色に塗装された胸部は
有機的な要素が取り入れられており、
奇妙な印象のロボットモードだ。
更に腹部には背骨と肋骨の様なモールドがあり、
パープルで彩色されている為、
不気味さと異様な雰囲気を放っている。

リア
カブターボはカブトムシをモチーフにしていながら、
ボディ全体はダークグリーンの成形色が使用されている。
頭部はシルバー成形色で構成されるが
ブラウンで全塗装しており、肩に配置された前輪は、
ダークグリーン成形色のパーツをわざわざ黒で塗装して
タイヤらしく見える様にしているという拘りの仕様だ。

『カブトムシ等の甲虫をモデルにしたアクロゼンマイン。
とても力持ちで、カブトアームで攻撃する。
スピードを活かした体当たりが最大の武器。
更に接近戦では、2本のツノで敵を挟み、高圧電流を流す。
ロボット形態では、このツノを電撃棒として使用。』

カブトアーム
ビークルモードで頭部に配置されていたツノは、
ロボットモードでは腕部及び武器として機能する。
肘関節の可動に加え、カブトアームの基部にも
可動軸が設けられている為、
腕部の可動は自由度が高い。

ゼンマインはミクロマンの活動をサポートする為に
ミクロンエジソンが開発した、
人工知能搭載の量産型ロボットである。
元々ミクロマンゼンマインとして開発された
カブターボとピラニトロンは、アクロイヤーに捕まり
手下に改造されたという設定があるのだが、
アニメに於いてその経緯は語られなかった。

アニメ劇中では見逃してしまう程の
出番しか無かったカブターボだが、
アクロイヤーの秘密基地には
無数のアクロゼンマインが配備されている。
同一画面に10体以上のカブターボが
登場しているシーンもあり、
量産型ロボットという設定が活かされていた。

アクロイヤー・デモン三幹部が
アーサー達ミクロマン・マグネパワーズ4人と
チェンジトルーパーズ・ドリルジョーを捕らえ、
秘密基地に監禁した際にアクロゼンマインを投入し、
ミクロマン達に改造手術を施そうとした。
このシーンではカブターボのカッター状の腕部がアップで映り、
手術用のメスの様なイメージを見る者に与えていた。

ゼンマインのトイはチョロQと同様の
プルバックゼンマイを搭載している事が特徴となっているが、
ビークルモードの走行ギミックだけにとどまらず、
ロボットモードでもゼンマイを利用したギミックが組み込まれている。
ゼンマイはカムで両脚と繋がっており、ロボットモードでは
左右の脚を前後に動かすのだが、両脚は高速で交互に動く為、
宛ら慌てて走っている様なコミカルな動きを見せる。

走行ギミック用のゼンマイの駆動をロボットモードでは
脚部に伝えるアイディアは非常に優れた物であり、
プルバックゼンマイを最大限に活かしたギミックと言えるだろう。
更にゼンマインをロボットマン、アクロボットマン等の
大型トイの腕として合体させれば、
高速で打撃を与えるクロー型の武器にもなるのだ。

ゼンマイを利用したアクションギミックは遊び易さも考慮されており、
ゼンマイを巻いた状態を維持する為のストッパーも設けられている驚きの仕様だ。
丸印内のシルバーパーツがストッパーで、押し込むと
後輪のゴムタイヤの回転を止めてゼンマイが巻かれた状態をキープし、
矢印の方向に動かすとロックが解除されゼンマイをリリース、
タイヤが回転し脚部が前後に動く。

↓
又、マシンモードのゼンマインにミクロマンやアクロイイヤーの
フィギュアを乗せて走行させる事が可能だが、
これは単にカブターボの上に
デモンレッドを立たせているだけではない。
カブターボ車体上部の金属製の球体関節に
デモンレッドの足の裏を接触させる事で、
マグネットの磁力で密着するというギミックである。

↓
デモンレッドを始めとするアクロイイヤーマグネパワーズや
ミクロマンフィギュアの背中には5ミリ径の穴が設けられている。
カブターボ頭部の首に当たる部分は
5ミリジョイントになっている為、
フィギュアの背中に装着させる事が出来るのも
ゼンマインのギミックの一つだ。

↓
ゼンマインの変形は組み換え方式だが、
完全変形を実現出来なかった訳ではなく、
他のミクロマンフィギュアとの連動を考慮した
意図的な物である事が理解出来る。
又、カブターボの頭部をバックパックの様に装備出来る事に加え、
角パーツを取り外してデモンレッドの拳に装備させる事も可能。

↓
ミクロマン・マグネパワーズ シリーズは、
5ミリジョイントや3ミリジョイント、マグネット等を駆使して、
別売りアイテムと合体させたりパワーアップ形態を
構築する事が出来る優れたトイである。
ユーザーの想像力次第で様々なモードを作り出す事が可能で、
非常に遊び甲斐のあるトイシリーズであった。

ミクロマン・トイは数を増やしていくと多様な連動が可能となる。
ゼンマイン、アクロゼンマインは単体でも変形や走行ギミックで
充分楽しめるアイテムだが、他のフィギュアと連動させる事で
遊びの幅が飛躍的に広がる非常に優れたトイである。
新ギミックを組み込みながらもジョイント部は
他アイテムと規格を統一している配慮も、
様々なアイテムの連動を念頭に置いた開発という事が窺え、
ゼンマインを含むミクロマン・マグネパワーズは
タカラ製男児玩具の本領を発揮したシリーズであった。

◆参考にならない比較◆